「私とあなた」の関係を重視した人間尊重の心理療法
ゲシュタルト療法
成熟した人格の持ち主とは
ゲシュタルト療法では、「成熟した人格の持ち主とは、その人が、その人らしく行動でき、その人らしく生きることができる人格の持ち主である」と考えています。
「その人らしく」とは、統合されている人格であることを表し、それでこそ実存的価値があると考えます。
未成熟な人格の持ち主とは
これと逆に、「未成熟な人格の持ち主とは、建前と本音が裏腹で、嫌な時でも嫌と言えず、そればかりか、自分でも嫌かどうかわからなくなっていて、そんな自分が嫌いで悩んでいるという人格の持ち主である」と考えます。
未成熟な人格の持ち主は、大体において、話す時、主語がハッキリしていないか、主語が他人になっています。
「私は○○がしたい。私は○○だと思います。」という言い方をしないのが、未成熟な人格の持ち主の特徴です。
適切ではない例えかもしれませんが…、自分が腕によりをかけて料理を作ったとします。それなのに、ご主人、もしくは子供、恋人が何も言ってくれない…。
それで思い切って尋ねてみます。「どうお? 私の作った料理おいしい?」「別に、 普通!」
ここで、「あら、そんな言い方されたら、私、ショックだわ。もう作る気、しなくなっちゃうわ」という言い方が出来るのが成熟した人格の持ち主です。
未成熟な人格の持ち主は、「ぜいたく言ってはダメ。世の中にはご飯を食べられない人がたくさんいるのよ」とか「そういう言い方をしてばかりいるから、あなたは友達が出来ないのよ」という言い方をします。
いつも自分の人生を生きている
成熟した人格の持ち主は、いつも自分の人生を生きています。今自分が、気分がいいのか悪いのか、自分でよくわかっています。
未成熟な人格の持ち主は、自分の人生を生きていません。今自分が、気分がいいのか悪いのかさえ自分でわかっていないため、後で、傷ついている自分に遅ればせながら気付く、といった人生を歩みがちです。
精神的に健康であるということは、「今、ここで、自分は何がしたいのか」という自分の内面がわかり、尚且つ、「今、ここで、自分は何をなすべきなのか」という自分を外界から見ることができるという状態であるということです。
ゲシュタルト療法の技法
ホットシート
大勢の人に、自分の欠点や長所を教えてもらう。
役割交換法
娘が母親の役割を、母親が娘の役割をそれぞれ演じて会話する。
未完の行為
やりたくてやれなかったことをやってもらう。両親のいない人に「お父さん」「お母さん」と呼ばせる等。
ドリームワーク
夢の中の登場人物や事物になり気って、その気持ちを語る。
句の繰り返し
クライエント(相談者)の発言の中で、感情表現的な語句を大声で何回も繰り返す。
言葉にジェスチャーを合わせる
「嬉しいです」という時は嬉しい仕草をする。
発言内容と正反対のことを言う
「私は気が小さい」というクライエントに、「私は気が大きいです」と何回も言わせ、自分の反動形成に気付かせる。
できないことをする
「人前では話せない」という人に、「今からあなたは人前でも平気でおしゃべり出来る人間を演じてください」とロールプレイをさせる。
質問を叙述にに変える
「今日も残業があるのですか」という質問を「たまには早く帰らせてくださいよ」という感情をこめた話し方に変える。
ジェスチャーに言葉を合わせる
指を何度も組みなおす人に「僕は今、落ち着かないのです」と言わせる。
トップ・アンダー・ドッグ
「ねばならない」自分と「○○したい」自分を対話させる。
事実と感情
事実を語った後に、必ずその事実についてどう思ったか語らせる。
ボディワーク
肩を揉んであげたりする。
内観法
親しい人について想起させる。そのことによって感謝の気持ちを持つ。 「お世話になったこと」「迷惑をかけたこと」「してあげたこと」